国税徴収法のすゝめ#50 第二次納税義務者ーその1

Sponsored Link


昨日は、第二次納税義務者からの徴収手続を一通り見ました。

昨年の出題では、「徴収方途」が問われてますが、
これがなんなのかTACと大原では見解が異なりました。

TACでは、徴収手続を含むものとしており、
大原では、含まないものとしていました。

TACの解説では、平成16年の問題で、
「徴収方途と徴収見込額について、その根拠を示して述べなさい。なお、その徴収手続について述べる必要はない。」
という出題があったので、徴収方途には徴収手続が含まれるというのが、
出題者の一貫した見解と思われるということでしたが、

公開されている出題のポイントをみると、ポイントとしては、

1.滞納処分を逃れようとしている事例において
第二次納税義務の追及という徴収方途を見出すことができるかどうか
2.そこにおいて
①対象者
②限度額等

と挙げられています。

この点ではTACは、道理にかなった推論をしながらも、大原の方が出題のポイントの趣旨に近い回答になっています。

一方で、大原の解答には間違いと思われる個所がありました。

「清算人等の第二次納税義務」として追及されるべき債務免除を受けた人について、
「無償又は著しい譲受人等の第二次納税義務」と模範解答を作成しています。

これは確かに難しすぎる出題でした。
通達の文章に通じていないと正確には解答できません。

つまり、第二次納税義務については、模範解答も間違ってしまって合否に影響がないほど
どれに該当するのか明確に理解するのが難しい場面があるということを表しています。

とにかく、「滞納国税を不正に逃れようとしている」といった場面では、
その関係者から滞納国税を徴収するということが規定されているので、
いろいろなケースが要件として定められています。

なので、とりあえず要件はそのまま押さえてしまいましょう。
ただ、昨年、第二次納税義務の国税徴収法第33条から41条までのうち、
34条(清算人等の第二次納税義務)と39条(無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務)
は出題済みなので、優先順位は下がるかもしれません。

どちらかと言えば、重要なのは限度額です。

とりあえず、ざっと33条から見ていきますと

1.無限責任社員の第二次納税義務
株式会社という有限責任形態ではない会社の
無限責任社員についてはその名の通り、滞納国税全額を納付する義務を負います。

2.清算人等の第二次納税義務(清算受託者等の第二次納税義務)
「会社の解散や、信託の終了時にきちんと滞納国税を払ってから終了してね」
という規定です。
そうしないで、分配したら、
分配した人もされた人も、その分配した額と分配された額だけ納税義務を負います。

3.同族会社の第二次納税義務
滞納者が自分で会社を持っている場合に、
自分名義の財産がなくて、会社名義の財産はあるという時に、
滞納者の国税をその会社から取り立てるという規定です。

4.実質課税額等の第二次納税義務
すでに他の法律で租税回避として、処分を受けているときに
実際租税回避をしているので、滞納者自身にはお金も財産もない場合があります。

「〇〇さんの利益なので、わたしの利益ではありません。」
「△△さんの財産なので、わたしの財産ではありません。」
と主張して、租税回避をしようとしたわけですから、当然です。

とはいえ、それで、
「お金も財産もないから処分して課された国税は払えません」
で済むはずもなく、
上記の
〇〇さんと△△さんは、その利益の額と財産の額だけ取り立てられる
という規定です。

5.共同的な事業者の第二次納税義務
滞納者が奥さんの財産を賃貸して、収益を上げていたり、
会社が代表者の財産を賃貸して、収益を上げていたりすることがあります。

そんなときに、滞納者や会社に財産がなくて滞納国税をおさめられないとなったら、
その事業のために使っていた財産の額だけその所有者から取り立てられるという規定です。

6.事業を譲り受けた特殊関係者の第二次納税義務
個人事業主が滞納していて、その親族が事業を承継することがあります。
法人であれば、滞納国税はそのまま法人にのこりますが、
個人で事業が承継されたからと言って、納税者がかわるわけではありません。
それで、一定の要件を満たせば、その滞納している個人事業主の滞納国税を事業を譲り受けた親族からその譲りうけた財産の額を限度として取り立てることができるという規定です。

7.(39条は明日にとばして)人格のない社団等に係る第二次納税義務
まず、人格のない社団では、不動産の登記ができないので代表者名義で登記している財産があります。
なので、その代表者からその財産価額分だけとりたてられるという規定があります。

そして、
人格のない社団等についても滞納国税を納めないで、財産の払戻しがあったら
払い戻しを受けた額だけ滞納国税を納める。
という規定があります。(この2番目の規定は明日の規定と絡むので明日とセットで見てください。)

実に大急ぎで一つの規定を除いて見てきました。
滞納国税を取り立てるぞ!という点で筋は通っていると思います。

それでは、今日のまとめの川柳です。

実際の お金の流れ 追いかけて

国税徴収法の受験生増加、(合格率は10%前後と決まっていますから)ひいては合格者増加のためのこのブログの宣伝として
下記のクリックによろしければご協力ください。

にほんブログ村 資格ブログ 税理士試験へ
にほんブログ村
↑こちらのクリックをよろしくお願いします。

『税理士試験-替え歌暗記法』の紹介ページ
も随時更新しています。(スケジューリングサービスや『替え歌暗記法』の利点など)時々、ご覧ください。

Sponsored Link


シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする