国税徴収法のすヽめ♯56  配当計算の解答方法

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国税が優先する

これが配当の原則ですが、今日は別段の定の一つ目です。

国税徴収法第9条にこうあります。

(強制換価手続の費用の優先)
第九条  納税者の財産につき強制換価手続が行われた場合において、国税の交付要求をしたときは、その国税は、その手続により配当すべき金銭(以下この章において「換価代金」という。)につき、その手続に係る費用に次いで徴収する。

強制換価手続とは?
すでに替え歌にしてさらりと言えるようになっていると思いますので、説明は割愛します。
歌って思い出してください。

この規定は、国税が交付要求をしているときに適用される規定です。
交付要求については過去の記事を見てください。

では、この規定にある肝心の
「強制換価手続に係る費用」
とは一体どんなものなのでしょうか?

基本通達を見ると下記のように規定されています。

(1) 滞納処分の場合には、法第136条《滞納処分費の範囲》に規定する費用又はこれに準ずる費用
(注) 上記の「これに準ずる費用」としては、地方税の督促手数料がある(地方税法第14条の3参照)。
(2) 強制執行の場合は、強制執行の準備費用としての執行文の付与、判決の送達、判決確定証明書の付与(裁判上の費用)、執行の申立てをするため出頭するに必要な旅費(裁判外の費用に限る。)等の費用及び強制執行の開始によって生じた費用としての執行官の手数料、立替金、鑑定費用、保証供与の費用、差押財産の保存費用等(執行法第42条第1項参照)
(3) 担保権の実行としての競売の場合又は企業担保法による企業担保権の実行手続の場合は、(2)に準ずる費用(執行法第194条及び企業担保法第17条第2項において準用する執行法第42条参照)
(4) 鉄道抵当法、軌道ノ抵当ニ関スル法律又は運河法の規定による強制競売又は強制管理の場合は、(2)に準ずる費用(鉄道抵当法第68条第1項等参照)
(5) 破産手続の場合は、破産法第148条第1項第1号《財団債権となる請求権》に規定する裁判上の費用、第2号に規定する管理、換価及び配当に関する費用(破産管財人の報酬(昭和45.10.30最高判参照)及び保全管理命令(同法第91条)が発令された場合において保全管理人が権限に基づいてした行為によって生じた請求権のうちその財産の管理及び換価に関する費用の請求権(同法第148条第4項、第152条第2項かっこ書き))並びに同法第42条第2項ただし書《強制執行等の失効の特例》の規定により破産管財人が破産財団のために強制執行等の手続を続行する場合の費用(同法第42条第4項参照)

とりあえず、この辺はざっと目を通してもらって、
よく出てくるのが上記(2)に出てくる鑑定費用です。

【例題】
滞納者の債務
①M銀行からの借入金  1000万円
②交付要求国税  3万円
③不動産鑑定料 20万円

という場合には、
第1順位 不動産鑑定料 20万円
第2順位 交付要求国税 3万円
第3順位 M銀行からの借入金 1000万円
となります。

実際の解答を書く場合には、
—————
【配当】
第1順位 不動産鑑定料 20万円
第2順位 交付要求国税 3万円
第3順位 M銀行からの借入金 1000万円
【解説】
(1)まず、「国税優先の原則」により、交付要求国税がまず優先されます。
(2)しかし、別段の定めである「強制換価手続の費用の優先」の規定によって
第1順位 不動産鑑定料 20万円
第2順位 国税 3万円
第3順位 M銀行からの借入金 1000万円
となります。
【根拠条文】
1.国税優先の原則
国税は、納税者の総財産について、この章に別段の定がある場合を除き、すべての公課その他の債権に先だつて徴収する。
2.強制換価手続の費用の優先
納税者の財産につき強制換価手続が行われた場合において、国税の交付要求をしたときは、その国税は、その換価代金につき、その手続に係る費用に次いで徴収する。
————–
となります。

まずは原則を書かないと、入れ替えたりできませんので、原則は常に必要です。

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国税徴収法のすゝめ#59 国税優先の原則

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