国税徴収法のすヽめ♯47  保全差押

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今日と徴収法上の
「保全差押」
から扱いたいと思います。

国税徴収法159条に規定されています。

昨日説明したように、「滞納前」の差押です。
ですから、「滞納処分による差押え」には入らないはずです。

一方で、保全差押をしている状態で、滞納状態に入ると、そのまま「滞納処分による差押え」になります。

この場合には、原則手続きの「督促」をしなくても、「滞納処分による差押え」になるので、「督促を要しない差押え」として例外的な扱いになります。

とまあ、本試験的な話を先に書きましたが、
この「保全差押」とはどんなものなのでしょうか?

1.条文の要件を見ていただいてわかるように、
「犯罪的なにおいがしたら、その者の財産を前もって差押える」
というニュアンスになります。

ですから、国税の確定前でOKです。

例:
国税の法定申告期限には、一応申告はしていたものの、
その後、証拠が挙がって、その者が逮捕などされた時には、
決定や更正で納付税額が確定される前においても
「保全差押金額」というのを決めて差押えることができるということです。

2.滞納前の「念のための差押」というわけなので、
手続き上においても少し面倒なことに、国税局長の承認をとらないといけません。

3.そして、金銭を差押えた場合でも通常の滞納処分による差押と異なり、
そのまま国税の徴収とはならずに、その金銭は法務局に供託されます。

とりあえず「念のため押さえておくだけ」というわけです。

4.「念のための差押」なので、その者が担保を提供して、
「解除して」と請求した場合には
解除「しなければなりません」。

6月も税額が確定しない場合も、「念のための差押」の
意味がないので解除しなければなりません。

一方、「念のための差押」なので、「必要ないかな」と判断できれば、
解除することもできます。

「保全差押」は「滞納処分による差押え」と違って
「しなければならない」規定ではありません。

5.「念のための差押え」で差押えすぎた場合には、
国の側に賠償責任さえあります。

「念のための差押え」なので、やはり慎重になることを国に求めているわけです。

6.ちなみに、交付要求もできます。
「あたりまえだ」と感じるかもしれませんが、
交付要求の要件として国税徴収法には、
滞納者の財産につき強制換価手続が行われた場合には・・・交付要求しなければならない」
とあります。
一方、上記の要件から明らかなように保全差押をする際には、
その保全差押を受ける者は滞納者では絶対にありません。
納付すべき税額が決まっていないからです。

担保付財産が譲渡された場合もそうでしたが、
交付要求の要件上は「滞納者の財産」でないと交付要求できませんが、
別の者の財産で、交付要求できる場合には、やはり別の要件が必要になります。

ざっと、説明するとこんなところです。
本当は、ほぼ同じ規定の「繰上保全差押」も扱いたかったのですが、
長すぎるので明日にします。

それでは、今日のまとめの川柳です。

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