国税徴収法のすヽめ#36  登記設定日では判断しない抵当権、質権

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法定納期限等を基準として設定登記日と比較する質権や抵当権などについて扱いました。

しかし、質権や抵当権、担保のための仮登記についても
必ず国税より優先するケースがあります。

それについて国税徴収法第17条、23条3項で定められています。

それが「譲受け前に設定された質権又は抵当権の優先」の規定です。

滞納者の財産になる前から、質権や抵当権がついていたら、その権利を優先させるという規定です。

少し具体的な例で説明します。

普通のイメージでは、不動産の譲渡の時には抵当権などはきれいにして譲渡するイメージになると思います。

しかし、抵当権をなくさないと売れないかというとそういうわけではありません。
抵当権の分、値下げして他人に譲渡することはできますし、それを買う人もいないわけではありません。

それで、抵当権付の財産の滞納者が譲り受けることがあります。
そうなったときに、抵当権の設定登記の日が、滞納者の滞納国税の法定納期限等より後に設定されている場合、滞納国税が優先して配当を受けてもいいでしょうか?

それでは、抵当権者は、財産が譲渡されたというだけで、大きな不利益を被ってしまいます。
それで、滞納者の財産になる前に設定された、質権、抵当権、担保のための仮登記については優先させてあげようということが定められているわけです。

このケースを考えるときに、少し紛らわしいのが相続が絡むケースです。
抵当権が設定された不動産を相続するということは容易に考えられます。

条文どおりに考えると、単に滞納者の滞納国税が問題になる場合には、抵当権の被担保債権が優先します。

ただ、滞納者の亡くなった親も滞納していて、その承継した滞納国税が滞納処分になっていることがあります。

この場合には、一概に抵当権の被担保債権が優先されるかというとそうでもありません。
滞納者の亡くなった親が、もともと銀行からお金を借りる時点で、滞納していないかの確認をしていることが考えられますから、この場合には、滞納者の亡くなった親の滞納国税の法定納期限等と抵当権の設定登記の日を比較することになります。

一方で、滞納国税だけを承継して、もともと滞納者の財産だった家屋が差押えられるということも考えられます。
この場合には、法定納期限等の規定によって、相続の日が滞納国税の法定納期限等となります。

少しだけ複雑ですが、
「もともとが自分の滞納国税なのかどうか」という観点でみると少し整理しやすいと思います。

少し長くなりましたので、今日はここまで。

それでは、今日のまとめの短歌です。

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