先週、「法定納期限等以前に設定された・・権」の優先について扱いました。
その補足です。
①留置権、不動産保存の先取特権等
また
②質権、抵当権、不動産賃貸の先取特権等
③担保のための仮登記
にしても、債権者が勝手に「あるよ」といっても、周りが認めてくれるわけはありません。
そんなことだったら、みんなが「〇〇権設定してたよ!!」と主張してしまいます。
それで、きちんと執行機関に証明しなければならないわけですが、
登記されているものは、登記があるだけでOKです。
登記は、だれでも閲覧できる性質のものできちんと別の法律に基づいて設定される公的なものだからです。
逆に登記できるのに、登記していないと「証明していない」ものになります。
留置権は
「修理屋さんの修理品返さなくていい権利」みたいなものですから、登記制度はありません。
なので、別途証明する必要があります。
抵当権、仮登記
については、登記制度がありますので、必ず登記することが必要で、登記が証明の代わりになります。
先取特権と質権ですが、
登記できるものとできないものがあります。
それで、登記できないものは、別途証明する必要があるわけですが、
その中でも有価証券を目的とする質権以外の質権についてはは証明方法までもが国税徴収法第15条で規定されています。
配当計算の規定については、ばっちり暗記する必要は基本的にはないのですが、
この「証明方法の規定」については、暗記しておいた方がいいかもしれません。
ここに列挙されている以外の方法、たとえば、通常の契約書で質権設定がされていた場合には、
国税徴収法上は配当が優先されないということになります。
その判断が暗記していれば、すぐにわかるはずです。
なので、この部分について1曲使いましょう。
そして、この規定が重要になる理由として、
「国税徴収法上の取扱と民法上の取扱に差がある」
ということがあります。
民法上は、「国税徴収法上の証明方法」でなくても優先されます。
となると、
「国税徴収法上の証明方法」で証明をしなかった質権は、
民法上ではAという別の債権に優先するものの、
国税徴収法上は国税に優先するAという債権に優先しない
という状態になります。
そうなると「ぐるぐる回り」なのかな?
となりますが、そういう状態を回避するために証明方法につづく4項の規定が設けられています。
条文を自分の目で確認していただいていると思います。
少しわかりづらい表現ですが、要するに
「そんな時は国税徴収法が優先します」
ということです。
民法上の優先は無視されます。
それで、「ぐるぐる回り」にはならないわけです。
少し長くなりましたので、今日はここまで。
それでは、今日のまとめの川柳です。
質権は 証明方法 気にしよう
国税徴収法の受験生増加、(合格率は10%前後と決まっていますから)ひいては合格者増加のためのこのブログの宣伝として
下記のクリックによろしければご協力ください。